キャリア・アンカーで自分の内面の価値観を確認し、生涯のキャリアを発達させていく
今回からキャリアの発達の役立つようなキャリア関連カウンセリングや心理学のトピックをご紹介させていただきます。
キャリア心理学
ライフスタイル・価値観が多様化する中、キャリアと人生の関わりももちろん大きなテーマです。
転職やヘッドハンティングというと、如何に新しいチャンスを掴むか、経済的な報酬を高めるかか、そのために自己のスキルを如何に高めるかに注目しがちです。
しかしながら、転職して昇給してみたものの、思っていたキャリアや人生と違うということでストレスを抱え失速してしまう方も少なくありません。
企業と個人という視点だけでなく、長期的な自分の豊かな人生を形づくるためのキャリアという視点がもっと必要になると思います。そのために必要なキャリア心理学のキーワードをご紹介させていただきます。
第一回はアメリカの組織心理学者エドガー・シャインの「キャリア・アンカー」についてです。
キャリア・アンカーで自分の内面の価値観を確認し、自分の人生の価値を明確化し、生涯のキャリアを発達させていく。
キャリア・アンカーとは
キャリアアンカーとは、キャリア・アンカーとはアメリカの心理学者エドガー・シャインが提唱した概念です。
ある人物が自らのキャリアの選択する際に、最も大切な、どうしても犠牲にしたくない価値観や欲求のこと。周囲が変化しても自己の内面で不動なものののことを指します。
エドガーは、職業人にとって、これら自分の内面のキャリア・アンカーをしっかりと理解し、同じく彼が提唱した人生の中の「キャリア・サイクル」とあわせて、自身のキャリアを正しく発達させていくことが幸福な職業人生に重要と考えました。
以下がそのキャリア・アンカーになります。
主な8つのキャリア・アンカー
・管理能力 :組織の中で責任ある役割を担うこと
・技術的・機能的能力 :自分の専門性や技術が高まること
・安定性 :安定的に1つの組織に属すること
・創造性 :クリエイティブに新しいことを生み出すこと
・自律と独立 :自分で独立をすること
・奉仕・社会献身 :社会を良くしたり他人に奉仕したりすること
・純粋な挑戦 :解決困難な問題に挑戦すること
・ワークライフバランス :個人的な欲求と、家族と、仕事のバランスを調整すること
エドガー・シャインは当初、組織心理学の生みの親として、経営学・組織開発の中で評価されていました。
やがて組織開発の研究において必ずしも組織だけのアプローチでは必ずしも上手く行かないと判断し、心理学者としてより組織の中での個人としてのキャリアのあり方に重点を置き、キャリア・アンカーの概念を生み出すことになりました。
キャリア・アンカーを利用して自分の内面をしっかり可視化しておくことで、たとえば現状に問題や不満を抱えているとき、自分が現職での仕事の何に具体的に満たされていなのかを捉えることが出来ます。
そうやって得られた気付きに対して、改善のためのアクションをおこして行きます。 エドガー・シャインはそれを「建設的対処」と呼びます。
建設的対処のステップ
1.問題は何かを診断する。ストレスを引き起こしている状況について理解をすすめる。
2.自分自身を診断する。 自分の資源、感情、欲求について理解をすすめる
3.対応策を選択する ストレスの多い状況をどのように処理するかを決める
4.対応策の効果を診断する それは目的を達成したか、課題に立ち向かいそれに合致したか、問題を解決したか、評価する。
その上で、キャリア・アンカーを利用しながら
自分の長期的な成長欲求を確認して、キャリアを選択してゆきます。
1.才能と能力について 「なにが得意か」
2.動機と欲求について 「なにがやりがいのか」
3.意味と価値について 「なにをやっている自分が充実しているのか」
多くの方がキャリアに悩んだり、自身の欲求と現実のバランスに苦しんだりされるのですが、内面のアンカーをはっきりさせておくことで、建設的な次のアクションに移れるはずです。
そして、転職などキャリア選択の失敗も少なくなるはずです。
キャリア・アンカーは人生のステージにおいて、また変化もしていくものなので、常に自分の内面に問いかけることが重要になってくるのです。